昨年10月、我が国初となる女性内閣総理大臣が誕生し、「責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動を行う」と、経済財政政策の基本方針が宣言されました。強い経済の創出によって、約30年続いた停滞感を打破するとともに、本市経済のさらなる活性化にもつながることを期待しております。
また、その基本方針のもとに、国が最優先で取り組むこととして、物価高への対応が挙げられております。本市においても、長引く物価高騰が市民生活と地域経済を圧迫しており、市民の暮らしは、依然として厳しい状況にあります。
市民の暮らしを守ることは、市政の最も重要な責務であります。
市ではこれまで、子育て世帯や事業者に対する市独自の支援策など、生活者と働く者の視点に立った、さまざまな対策を講じてまいりました。こうした取り組みとともに、国の重点支援地方交付金を活用した効果的な事業を実施することによって、市民の暮らしに安心を確実に届けてまいります。
また、気候変動による影響、少子高齢化の進行など、本市を取り巻く社会情勢には、依然として不透明感が漂っております。
昨年、本市基幹産業の一つである農業では、開花期の天候不順に加えて収穫期が猛暑となり、さくらんぼが2年続けての凶作となりました。こうした気象リスクや人手不足という構造的課題から、産地と生産者を守り抜くため、引き続き、関係機関と連携した取り組みを重点的かつ早急に進めてまいります。
また、昨年夏以降、全国的にクマ被害が相次ぎ、本市においても、市民の生活圏において、過去に例を見ない規模で出没しております。市民の安全・安心を脅かすこの深刻な事態に対し、市民の生命と財産を守るため、緊急的かつ総合的に対策を実施してまいります。
これらの被害の背景には、地球温暖化などの環境問題があるといわれております。本市は、引き続き、ゼロカーボンシティとして、市民・事業者・行政が一体となった、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
日本は今、少子化の影響により、急激な人口減少に直面しております。政府においても、年々深刻さを増すこの問題に対し、昨年11月に「人口戦略本部」を設置し、省庁の枠を越え、人口減少対策を総合的に推進することとしております。
本市はこれまで、少子化・人口減少対策を意識しながら、国や他の自治体に先駆けた、特色あるこども・子育て支援策に取り組んでまいりました。その結果、合計特殊出生率は、国および県の数値を常に上回り、人口は、現在も47,500人前後で安定して推移しております。
しかしながら、いまだ少子化傾向は続き、加えて、近い将来には、人口が減少局面に入ると予測されております。そのため、引き続き、こども・子育て支援を最重要課題の一つと捉え、新年度から、小学校の給食費の無償化や産婦健康診査に対する助成を開始するなど、その取り組みを拡充してまいります。
また、市では現在、「第5次東根市総合計画後期基本計画」とともに、「第3期東根市総合戦略」の策定作業を進めております。新年度からは、新たな計画・戦略のもと、将来にわたり本市が持続的に発展できるよう、まちづくりを進めてまいります。
住民がここに住み続けたいと思うには、その土台となる、健康的に安心して生活できる環境が必要であります。そして、そのためには、医療・福祉、特に疾病の予防や早期発見が重要であります。こうした考えから、私は、旧神町小学校の跡地に「検診センター」を誘致することを公約に掲げ、その実現を目指し、全力で取り組んでまいりました。
ご案内のとおり、これまでの熱意と努力が実り、すでに現地では建設工事が開始されており、来年4月にはオープンとなる見込みであります。誘致にあたっては、協議相手が行政ではなく、またコロナ禍もあって、非常に苦労いたしましたが、「信念は岩をも通す」の言葉どおり、これをやり遂げたことは、まさに万感の思いであります。
これにより、本市および北村山地域における検診の利便性が飛躍的に高まります。今後、さらなる受診率の向上を目指し、その利便性を広く周知するとともに、引き続き地域住民の健康づくりを推進し、誰もがいきいきと暮らすことができるまちづくりにつなげます。
北村山公立病院の建て替えについては、昨今の建設資材や物価の高騰、労務費の上昇を受け、建設事業費が増大しており、見通しを立てることが非常に厳しい状況になっております。持続可能な地域医療体制を確保するため、国による支援内容の拡充、県の独自支援策や病院組合への参画などを、強く要望してまいります。
国道48号の機能強化については、昨年10月、郡仙台市長、山形県知事名代として折原副知事、新関天童市長とともに、国土交通省に陳情し、その必要性を強く訴えてまいりました。太平洋側と日本海側を結ぶ横軸として、国道48号の重要性はますます高まっており、今後とも運動を重ねてまいります。
このほかにも、さまざまな分野において、本市が克服していかなければならない課題が山積しております。愛する郷土「ひがしね」の発展を確かなものにするためには、これらの課題にしっかりと向き合い、一つ一つ解決していかなければなりません。
今後も、私の政治信条であります「誠実、公正、実行」の理念のもと、「豊かな環境 みんなが選ぶ 住みよいまち」の具現化を目指し、全力を傾注してまいります。
令和8年度当初予算
次に、令和8年度予算案の大綱について申し上げます。
国の令和8年度予算案につきましては、122兆3,092億円と過去最大の規模となり、「強い経済」を実現する予算とされております。
地方財政計画では、社会保障経費や人件費の増加、物価高が続く中、地方の行政サービスの安定供給やいわゆる教育無償化などの重要課題への財源確保のため、地方税および地方譲与税は前年度比5.4%の増、地方交付税は前年度比6.5%の増となりました。また、地方交付税の財源不足を補う臨時財政対策債は、令和7年度に引き続き新規発行の予算額がゼロとなり、一般財源総額は、前年度比5.9%増の67兆5,078億円とされたところであります。
これらを踏まえた本市の令和8年度の財政見通しは、歳入では増加を見込む一方で、歳出では経常的な経費の増大などにより、厳しい財政運営が見込まれます。
令和8年度予算案は、こうした中にあっても本市が将来にわたって発展し続けることができるよう、堅実に積み立ててきた基金を積極的に活用し、編成いたしました。
歳入に関しましては、地方交付税の増額のほか各種交付金等の伸び、また、近年の実績に鑑み、ふるさと納税による寄附金も増額を見込んでおります。
市税収入は、賃上げに伴う個人所得の増加を見込み、個人市民税は増額計上しました。一方、物価高や円安等の影響とみられる企業業績の低調を踏まえ、法人市民税は大幅減と見込んでおります。しかしながら、住宅地の増加、企業による工場や商業店舗等の建設、設備投資等により、固定資産税は増額を見込んでおります。
歳出に関しましては、人事院勧告等を反映して人件費が増加したほか、資材等の原材料費やエネルギー、各種サービスの価格も依然として上昇していることから、経常的な運営経費が増大しております。こうした中にあっても、市民の安全・安心な生活を守るために必要不可欠な行政サービスを確保したうえで、第5次東根市総合計画に掲げたまちづくりを着実に進めることができるよう、各種施策に取り組むための経費を計上しております。
この結果、令和8年度の一般会計予算案は、過去最高額となる286億4,200万円となったところであります。また、一般会計並びに特別会計、企業会計を含めた予算総額は、434億8,540万2千円となったところであります。
それでは、新年度の主な施策について、第5次東根市総合計画に掲げた体系に沿って、ご説明いたします。
みんな元気にいきいき暮らす 健やかで住みよいまち
子育て環境の充実
新年度は、子育て世帯の経済的負担をさらに軽減するため、先行して実施している中学校に加え、国の助成を得て、小学校の給食費の無償化を行います。また、入学するこども1人あたり5万円を支給する小中学校入学応援事業を引き続き計上しております。
また、産婦の健康管理の充実を図るため、産後に実施される健康診査について助成する経費を新たに計上しております。
幼児教育・保育施設に関しては、新年度は民間3施設が開所する予定であり、これらに対する委託経費および給付費を計上しております。また、いわゆる「こども誰でも通園制度」は市内3施設で実施を予定しております。これらのことから、子育て環境の充実がより一層図られるものと考えております。
高齢者福祉の充実
本市の高齢者福祉施策の推進役であります東根市社会福祉協議会が入居する、ふれあいセンターについては、今般、長寿命化計画を策定し、今後長寿命化工事を進めていくこととしております。新年度は、屋上防水および外階段改修工事の実施設計に係る経費を計上しております。
健康づくりの充実
感染症の予防と健康維持のためには、定期予防接種が重要であります。令和8年4月から定期接種となる、妊娠後期の妊婦へのRSウイルスワクチン予防接種の助成に係る経費を新たに計上しております。また、歯やあごの骨のトラブル等に対し、成長期にある子どものうちに適切な処置を促すため、新年度は、乳歯から永久歯に生えかわる「混合歯列期」にあたる、小学校2年生と3年生の歯科パノラマX線写真検査等に助成する経費を新たに計上しております。
自然と環境を未来につなぐ 安全・安心で快適なまち
防災機能の強化と強靭なまちづくりの推進
本市においても市街地へのクマの出没が増加し、農作物への被害にとどまらず、人身被害の恐れが出ております。このため、クマ被害の特別対策事業として、市街地等への出没抑制を図るための不要果樹伐採などに対する補助、現地パトロールおよび緊急銃猟の実施等に係る経費を計上しております。
消防機能の強化
本市における救急出動件数は増加傾向にあります。救急・救助体制の充実を図り、質の高い救急活動を提供することは、市民の安全・安心に資するものであります。万全な救急・救助体制を維持し、充実させるため、高規格救急自動車を更新する経費を計上しております。
環境保全の推進
地球環境の保全には、限りある資源を有効活用し、環境への負荷をできる限り低減していく取り組みが必要であります。新年度から、撮影した画像や外国語から、より精度の高いごみ分別の検索ができる、ごみ分別AI検索サービスを導入し、さらなる循環型社会の構築に取り組んでまいります。
都市基盤の整備
現在、事業に着手している道の駅整備については、用地買収に向けた事業認定やアクセス道路の整備に係る経費を計上しております。
また、うるおいとやすらぎの空間、交流の場である公園について、適切な維持管理を行い、良好な状態に保っていかなければなりません。新年度は、あそびあランドの遊具更新のほか、都市公園の設備更新等に係る必要経費を計上しております。
上下水道の整備
安全でおいしい水を、いつでも安心して利用できることは我々の生活の基本であります。これからも安全な水道水を、安定して供給し続けるため、新年度は、PFAS対策として、より深い帯水層から採水する深井戸のさく井工事を実施する経費を計上しております。
また、災害に備えた強靭な上下水道の整備も、早急な対策が求められております。引き続き、老朽管の更新や雨水幹線の整備費等を計上しております。
力強く魅力いっぱいの 産業と交流のまち
交流の促進
国内の都市間交流については、東京都中央区との友好都市提携から35周年、同じく宮城県東松島市とは15周年にあたる節目の年を迎えることから、周年記念事業の経費を計上しております。より一層絆を深め、交流を促進してまいります。
農林業の振興
さくらんぼ生産量の回復に向けて、知恵をしぼり、対策を講じていかなければなりません。果樹産地強化事業において、さくらんぼをはじめとする各種果樹の施設整備やグレードアップ、改修等に必要な資材等の購入に対する補助金を計上しております。新年度は、補助対象として、施工費、2カ年以上の使用に耐えうる被覆材の購入費を追加するなど、補助メニューを拡充いたします。
また、地域農業の担い手確保も重要な課題であります。新規就農者が樹園地を円滑に継承できるよう、必要経費を新たに計上しているほか、就農の初期段階の青年就農者の経営支援として、補助単価を増額し計上しております。
こうした中で、未来に向けて本市農業が発展していくには、農業振興の基盤となる優良な農用地などの確保を図り、必要な施策を計画的に推進していく必要があります。そのため、農業振興地域整備計画の総合的な見直しに向け、基礎調査を行うこととし、関連経費を計上しております。
これらのほか、有害鳥獣農作物被害防止対策事業では、サルやイノシシ等に加えてクマの被害の恐れもあることから、その対策費用を拡充して計上しております。
商工業の振興
商店街のにぎわいの創出や店舗の魅力向上を図るとともに、新規創業者への支援などを行うため、商業活性化事業において、事業者を支援する補助金を拡充して計上しております。新年度は、店舗の整備や創業者支援に係る補助要件を緩和し、市内商業のより一層の活性化につなげてまいります。
観光の振興
本市の四季折々のにぎわいを創出する各種イベントについては、新年度もより一層の充実を図ってまいります。特に、第23回果樹王国ひがしねさくらんぼマラソン大会は、第10回大会以来3回目となる高橋尚子さんを特別ゲストにお招きし、募集ランナーを前回同様10,000人とし、おもてなしの心で全国のランナーを迎え、本市の魅力を発信するとともに、引き続き熱中症防止対策にも万全を期して、開催してまいります。
ひがしねブランドの発信
新年度は、「東根さくらんぼ」がGI地理的表示保護制度の登録を受けて、10年目を迎えます。今後も地域ブランドとして差別化を図り、トップブランドとしての地位を保持し続けるため、プロモーション動画等を活用し、PRの強化を図ってまいります。
心豊かな人を育てる 教育と文化のまち
幼児教育・学校教育の充実
学校のICT教育については、一人ひとりの習熟度に応じた個別学習を支援するため、小中学校ともにAI型学習教材の導入経費を新たに計上しております。
また、きめ細やかな教育を充実させるため、新年度は、スクールサポーターを増員し、さらに神町地区に教育支援センターを整備する関連経費を新たに計上しております。
生涯学習の充実
新年度は、社会教育施設長寿命化改良事業において、長瀞公民館の長寿命化に係る工事費を計上しております。
スポーツの振興
新年度は、社会体育施設長寿命化改良事業において、市民体育館の長寿命化に係る工事費を計上しております。
市民みんなの力でつくる 笑顔輝く協働のまち
地域力の向上
市民による魅力ある地域づくり活動に大きな役割を果たしてきた「ともに築く地域未来創造事業」について、これまで同様、地域づくり事業費補助金を計上しております。新年度は、自主防災組織が行う防災備品購入に対する補助の再申請を可能とするなど、より活用しやすい制度とし、地域力のさらなる向上につなげてまいります。
計画推進のために
広域行政・国県との連携
令和2年に連携協約を取り交わした「山形連携中枢都市圏」において、現在も、圏域全体のサービス向上に関する取り組みを連携して実施しておりますが、新年度は、航空写真撮影等に係る負担金等を計上しております。これにより、固定資産の適正課税に向けた基礎資料の充実を図ってまいります。
これまで申し上げてまいりました各種施策を持続的に展開していくためには、安定した強固な財政基盤を確立させることが必要不可欠であります。
本市財政を取り巻く状況は、依然として厳しいものがありますが、最大限の財源確保に努めるとともに、真に必要な分野に重点的に配分し、効率的な執行を徹底してまいります。
私は、平成10年9月の市長就任以降、7期に渡り、本市の発展と市民の幸せに向けて、一心不乱に走り続けてまいりました。数多くの苦難もありましたが、市民の目線に立った、先進性かつ特色ある施策を展開し、本市をより豊かなまちへと導くことができたと自負しております。
しかしながら、本市を取り巻く環境は、以前にも増して急速に変化し続けており、市民ニーズも多様化かつ複雑化しております。
こうした中にあっても、私は、未来に輝き続ける東根市を実現するべく、引き続き、不退転の決意をもって、市政運営に邁進してまいる所存であります。
議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、令和8年度の施政方針といたします。



